鹿沼も都会になってしまった
三連休はキャンプへ行ってきた。
キャンプ地へ向かう道中、目に飛び込んでくるのは、どこか懐かしい風景ばかりだった。
というのも、そのルートは、母の実家へ向かう道と重なっていたからだ。
小さい頃、お盆や正月になると、車酔いしながらこの道を通って連れて行かれた記憶がある。
山道の続く景色に「こんなところまで道があるんだ」と驚き、まるで別世界に向かっているような、不思議な感覚を覚えていた。
ばあちゃんの家から帰ったあと、母が「今、家に着いたよ」と電話をかけている姿を見て、
「こんな遠くでも通話できる電話ってすごいなぁ」なんて感心していたのも、つい昨日のことのようだ。
そんな昔と変わらない風景に懐かしさを覚えつつ、ふと、亡くなった父と一昨年くらいに最後にこの道を通った日のことを思い出し、少ししんみりとした気持ちになった。
すべてが昔のままというわけではない。
新築の家が建ち、いつの間にか新しいキャンプ場もできていた。
当時は人もまばらだった大芦川には、今では「関東屈指の清流」と持て囃され、夏にはキャンパーが集まり、シーズンを外れた今も外国人観光客の姿をよく見かける。
「別世界」だと思っていた鹿沼も、いつの間にか少しずつ都会の色に染まり始めていた。
キャンプ場には仲間が先についていた。
半世紀近く年が離れた友人。獣医であり接骨院の先生と、歯科の先生と、元小学校の先生。

歯科の方の先生は嗜好品にはこだわりが強い。
いつも、COHIBAという葉巻をくゆらせている。
なぜ葉巻なのか、不思議に思って尋ねたところ、ひとつの逸話を教えてくれた。
かつて、マッカーサー元帥が吉田茂にフィリピン産のCOHIBAを贈ったことがあった。
しかし吉田茂は、それを丁寧に「No, thank you」と断ったという。
彼は愛煙家でキューバ産の高品質な葉巻を好んで吸っていて、高温多湿な環境のフィリピン産は質が劣っていた。

このエピソードが示しているのは、たとえ相手が圧倒的に力を持つ存在であっても、
自分の信念を曲げず、毅然とした態度で向き合うという外交の精神。
先生はその姿勢に感銘を受けて、今もCOHIBAを吸っているのだそうだ。
アケビ発見。

自分は「アケビがある」としか思っていなかったが、二人は見ているだけでは飽き足らず「なんとしてでも取ろう」という話になり、最終的にジムニーで引っ張ろうということになった。

牽引フックとロープを結んで、4WD-Lに入れて引っ張る。

これ以上真っ直ぐ下がれないのでこんな風に下がる。

ゆっくりと下がって行くと、ミシミシと不気味な音を立てながらバツンバツンと枝か根が折れる音がする。そして、とうとう根っこが引っこ抜けて枝の一部が取れた。


野生のアケビは甘くておいしかった。労力に見合ったとはいえないが、東南アジアのノリで十分楽しめた。
スノーピークの温泉に入って帰る。

最近できたスノーピークのキャンプ場と温泉施設。700円で温泉だけ入ることもできる。
やはりこちらのキャンプ場は客層が違う。みんなオシャレで、都会に来たかのように錯覚する。
若い人も多く「いつの間に鹿沼はこんなに都会になったんだ」と少し寂しいけれどちょっと嬉しい。

見事な近代的な木造で、建築をかじり始めた自分には興奮する作りだった。
テラスを見る限り構造部分も木造のように見えたが、ほんとに全部木造なのかな?
温泉はアルカリ質で匂いも少なくてお肌すべすべになって良かった。
一つ気に入らない所としては、ロッカーがコの字に配置されていて、脱衣所に人が密集してしまう所。
ロッカーを多列にしたりどうにか工夫できないだろうか。

とはいえ、落ち着きのある和モダンなデザインも気に入ったし、サウナと露天風呂まであって良かった。
良い連休を過ごせた。明日は7時に出社しなければ。
こっちはこっちでこれと同等規模の木造案件が待っている。
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