ハンモックとタープが最高に良い

久しぶりに山で夜を明かした。山で野営するのは実は数年ぶり。
この様に木がたくさん生えている不整地では、ハンモックとタープが最適。

この張り方も拘りがあって、
パラコードは15mくらいを一本で張り、木に結ぶ際は一周させず輪を作り、その辺に落ちている木の枝で固定している。こうすることで撤収の際は固定している枝を外せば全てほどけ、素早くパラコードを回収できる。

とても快適です。まるで雲の上に居るような気分。

カモフラージュも完璧で山と溶け合っている。
5分でシェルターを設営し終わり、夕方までものすごく暇になったのでのんびりと横になる。
普段何かしらスマホを見ていたり仕事をしていたりするので、こういう風に自然の中で「何もしない時間」はとても貴重。
ぼーっとしていると、辺りの鳥の声や虫の声、遠くの沢の音、空気の質感の変化に意識が向く。空は晴れ間が出ているが、雲の色が一部濃い。風がわずかにひんやりしていて、この感覚は今夜は雨が降る。
案の定、日が落ちてから雨が降り出してきて、焚火はくすぶるばかりで米炊き以外ろくに調理ができなかった。薪は現地調達できると思っていたけれど甘かった。この辺は湿地帯に加え、悪天候で何もかもが湿っていた。
仕方ないのでかろうじて炊けた米とスニッカーズで腹を満たして寝ることにした。
夜も更けてくると、土砂降りの雨になった。
タープの張り方が甘いと水たまりができて、たるんでハンモックと接して、雨水が浸透してしまう。シワがあればそこから浸透した雨水が滴ってくることもある。
しかし、今回の張り具合は我ながら完璧で、全く浸水せず快適に一夜を過ごすことができた。
この場所は10年前までは圏外だったが、現在はSoftbankの中継基地が近くにできて現在は4Gが繋がっている。こんな山奥でもYouTubeが快適に見えるようになってしまった。
夜中にLINE通話をしていると、近くで鹿が鳴きだした。笛を吹くような声で警戒している。
人間の喋り声が聞こえて「ここになんかいるぞ」と仲間に知らせているに違いない。
どうやら動物にはルーティンがあり、決まった時間に決まった動物が現れる。
昼間は猿、夕方には熊、日が落ちて間もなくは猪、夜が更けるとフクロウや鹿、日の出前くらいに鳥といった感じ。
鹿は日中も活動しているが、夜になるとより活発になり行動エリアが広がるイメージ。

猪はとても警戒心が高く、一度通った道以外なかなか通らない。だが、おおよそ同じ時間帯にピッタリ同じトレースを辿るので行動を予測しやすい。野営する際は付近のトレースを見極めて、猪の通り道を避けるようにした方がいい。
猿は人の荷物を盗むことがあるので注意。どういう意図か分からないが3~4匹のフォーメーションで野営地のすぐ近くを駆け抜けていくこともある。
巷では目を合わせるなとは言われてるけどあまり関係ない印象。というか、こちらが目を合わせようとしても向こうが合わせてくれない。人の感情を読み取るので毅然とした態度で格上感を出していればいい。それで絡まれたことは今のところ無い。
翌朝、夜通し降っていた雨はようやく止んでいた。辺りは雨水をたっぷりと含み、落ち葉はじっとりとタープに張り付く、枝からは絶え間なくしずくが落ちてくる。
そんな中、固形燃料のエスビットを取り出し火を点ける。小さな火が立ち上がり、独特の匂いが鼻をかすめる。その火の上で味噌煮込みうどんを作った。ぐつぐつと煮える音、湯気に混じって立ちのぼる味噌の香りは、雨に濡れた空気にふわりと広がり、空腹のはずの体をじんわりと満たしてくれる。
片付けを終え、荷をまとめてから、「つつじの湯」に立ち寄ることに決めた。あたたかい湯に身を沈めれば、濡れた森の記憶も、これからの不安も、すべてがふっと溶けていくような気がする。
今回の反省はひとつ。雨に濡れた薪では思うように火が起こせなかった。次からは、多少かさばっても乾いた薪を必ず持参しよう。焚き火の炎と、あの心地よいぱちぱちという音を楽しむために。
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