袈裟丸山で割と近距離で熊と遭遇
袈裟丸山には4つのピークがあります。
- 前袈裟丸山
- 後袈裟丸山
- 中袈裟丸山
- 奥袈裟丸山
前袈裟は去年登ったので、今年は残り3つのピークを踏んで来ようということで行ってきました。
前袈裟から後袈裟への道はYAMAP上では立ち入り禁止の表示になっているので、郡界尾根登山口から登りました。
ここからスタートです。
この日は平地が40℃という予報でしたが、この場所は27℃くらいでした。
気温はそれほどでもないけれど、少し蒸していて少し歩くだけで汗だくになりました。
トレースがはっきりしたなだらかな斜面を登って行きます。
数十分ほど登るとひんやりと爽やかな風が吹き抜けて尾根に出たことが感じられました。
尾根をしばらく歩くと、ちょっと開けた場所があったので一休み。あまりにも居心地の良さに写真を取り忘れました。
この袈裟丸連山は小さい頃から眺めていて、その雄大な姿にいつも心を打たれていました。春の新緑が萌えている山々の奥の方で、まだ雪化粧が残るこの山に、まるで時間が止まっているかのような感覚を覚えたものです。
遠くの方に太田金山と八王子丘陵がうっすらと見えました。
いつもは遠くから見上げていた稜線を自分の足で歩く、その感覚は言葉では言い表せないほど特別な感動を覚えます。
目の前に広がる景色が一変し、近くで見る岩肌や木々の力強さ、そして眼下に広がる大自然の壮大さに圧倒されました。山の植物が放つテルペンを胸いっぱいに吸い込むと、心の中の雑念がすっと消えていくようでした。
腐植質が豊かななだらかな尾根。まるで日本庭園のような多様な植生に見とれていたら、いつの間にか前袈裟が横に見えていました。
後袈裟丸山に到着しました。初めての山は楽しいですね。
少し休憩した後に、中袈裟を目指します。
中袈裟への道は少し気配ががらりと変わって、ジャングルのような険しい道でした。
ここから先に行く人はあまりいないようです。
体のあらゆるところをひねり、木の枝や岩を避け、藪を漕ぎ、中袈裟丸山に到着。
トレースはちゃんとありますが、藪に隠れている所が多いので、油断すると見失います。
このピークの向こう側に奥袈裟があるはずですが…
水の残量と体力的にあきらめて引き返しました。
高い気温と藪漕ぎで予想以上に体力を奪われました。
目標を目前に引き返すという決断はサンクコスト的に難しいものがありますが、この決断に慣れておかないと本当に引き返すべき時に引き返せなくなってしまう気がします。
あれは男体山かな?
引き返している時に迷いそうになりました。
トレースが二つに分かれていて、なんかおかしいなと思ってInstinct2Xの軌跡を見たら5m外れていました。
↓が誤りの方向
↓こちらが正解。よく見るとピンクテープが見える。
こんな感じの藪のところもあります。
熊との遭遇
後袈裟からまともなトレイルになったので、気持ちよく駆け下りていたら、前方15mで黒い大きなものがガサガサっと茂みに動いて行きました。
シルエットからすぐに熊とわかりました。
クマよけスプレーを忘れた日に限って出会ってしまいました。
3つのF
大脳辺縁系をもつ動物は危機を感じると、Frieze・Fight・Flightの3種類の動作をすると言われています。
熊は微動だにせずこちらをじっと見つめてきました。Friezeの状態です。
次の熊の動きはFightかFlightです。決めかねている状況なので刺激をしないようにリラックスします。
Fightの場合はこちらも応戦する覚悟でした。
熊との戦い方
山歩きを趣味とする以上、熊との戦い方についても想定していました。
熊襲撃の統計を見てみると顔に一撃を食らわせて逃げるパターンが多いようなので、最初の一撃を合気杖術でクロスカウンターできれば勝機はあります。
筋肉と皮下組織が発達した野生動物に人間の力ではダメージは絶対に入らないが、戦う姿勢を見せつつサプライズを与えるのは有効と思います。
今までの岩間流合気道の武器技の稽古はこの日のための事なのだろうと思いました。
といっても戦うのは最終手段として、穏やかな動きで熊との間に立ち木を挟みました。
熊としても遮蔽物があると心理的にチャージし辛いはず。
熊のモグモグタイム
すると、熊はモグモグし始めて地面に落ちている何かを食べ始めました。
こちらをチラッと見ながらモグモグ。またこちらをチラっと見ながらモグモグ。
この辺はなだらかな地形で植生が豊かなので食べ物も多いのでしょう。
その場から立ち去りたいが、登山道はクマの近くで、移動すれば視界を切る形になってしまって危険なので出来れば真後ろにフェードアウトしていきたい。迂回路を探そうとYAMAPを開いたところ、熊は走って離れていきました。
周りに他の熊が居ないか注意深く五感を研ぎ澄ましながら下山しました。
食べている時は警戒心が散漫?
何かを食べている熊はどうやら警戒心が散漫になっているようで、15mほどの至近距離でようやく気付いたような感じでした。
この様子だと、お互い気づかず至近距離で出会ってしまい、そのまま一撃を貰うということもありそうです。
色々調べてみると、意外にも熊は視覚と聴覚はそれほど優れていないようで、低音で小さい音の熊鈴や音圧が小さい小型ラジオの効果について疑問です。
熊は高音に敏感ということなので、音圧が強いJBLのスピーカーでピンクフロイドのギターソロを流すのが良さそうです。
ゲイリームーアも良いかもしれません。
熊鈴やラジオの対策を行っている人も熊に襲われる例があるので、その辺は過信せず、クマのいる山域では五感を研ぎ澄まし、警戒しながら進んで行った方が良さそうです。
袈裟丸連山は藪が多いけれど、アップダウンがあって距離も丁度いいので、トレーニングに良い場所かもしれません。奥袈裟に行きそびれてしまったのでもっと体力をつけてから再度挑戦しようと思います。
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