根本沢の古道コースから懸造りの本社を拝む
- タイム
- 4:35
- 距離
- 10.4km
- 上昇量
- 914m
根本沢コース⛓♡ / Takuya Kobayashiさんの活動データ | YAMAP / ヤマップ
山岳信仰の山「根本山」
天正元年(1573年)に桐生氏の敗残党によって根本山神講が始まったとされています。
江戸期にはガイドブックが出版されるほど、根本山参拝の人気を博したそうです。
根本沢コースがオリジナルのコースのようで、史跡がたくさん見られるようです。
何より興味を魅かれたのが、懸造りの「根本山神社本社」。
写真を見る限り、今にも崩れそうなので一目見ておきたいと思いました。
次の絵図は明治35年7月に発行されたパンフレットのようなものです。
登山道に設置されているものを撮影しました。

「千代ヶ淵」の記述も見られる
絵図では上が南として書かれているようです。
現在の国土地理院の地図と照らし合わせるとおおよその位置関係が一致しています。

上級者向けの根本沢コースへ
10:30行動開始。不死熊橋を渡ってすぐ左に根本沢コースへの道があります。

いきなりロープで上級者向け感があります。
初めて見た時これが道とは思えませんでした。

少し上がっていくと、沢の方へ道が続いています。

いきなり渡渉です。思い切ってドボン。水深は足首くらい。
渡渉で一番深い水深はふくらはぎ辺りまででした。
水が冷たくて気持ちいい。

丁石は籠堂までの距離を示すもので、一丁あたり109mだそうです。
次の丁石には「二十丁」と書いてあります。籠堂まで2.1kmくらいですね。

このような道を進みます。

中尾根への分岐がありました。
ここまで来て嫌になったら中尾根に逃げられます。

なんとなく道っぽい所を進んで行ったら、行き止まり。
周りを見渡してみたら下の方に橋が見えたので、
この石垣をトラバースする形で進むのが正解のようです。


景色が綺麗すぎてどこを撮っても映えます。


この石積みもおそらく遺構かと思います。

ロープが張ってある沢沿いの道を進みます。

そして渡渉。
今回の山行でおそらく10回近く渡渉しました。


マイナスイオンたっぷりです。




ここが結構な難所でした。
つるつるの岩を三点支持で越えていきます。8mくらい下が沢で途中引っ掛かるような場所はありません。ワンミスで大けが間違いなし。


上流から流されてきたという鈴台。中央は根本山神社のシンボルである「天狗のハウチワ」だそうです。「天保十*(年)八月十*(日)」とあり、1841年頃のものであることが分かります。この台の用途は、参拝の際に持っている法具を一時的に置くためのものだそうです。


籠堂跡
おそらく当時のものと思われる石段があります。下の方は崩れていて途中からですが、石段の角度を考えると昔はもう少し歩きやすい地形だったのでしょうね。

下の図の[鳥居]の下の石段かな。

なんとなく昔の道が想像できます。
当時であれば左奥に二階建ての籠堂が見えているはずです。

鳥居の基礎と思われる。

籠堂とこの周辺施設は明治35年の台風により流失してしまったそうです。

1902年(明治35年)9月28日の「足尾台風」でしょうか。
足尾台風(あしおたいふう)は、1902年(明治35年)9月28日に千葉県から新潟県、北海道北部を通過し、主に関東地方から東北地方南部にかけて被害をもたらした台風である。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B6%B3%E5%B0%BE%E5%8F%B0%E9%A2%A8
名称の「足尾台風」は、栃木県足尾付近の被害が甚大だったことから後で付けられたものである。
石積みがまだ残っているように見えます。

男坂(表坂)と女坂(裏坂)
男坂(表坂)と女坂(裏坂)の分岐。

男坂の方は危険大とのことなので、女坂の方から進みました。

コケが生えていて濡れている岩に補助のロープ。足の置き場を考えないと滑ってケガします。

女坂の梯子。
1841年頃に男坂の梯子と共に設置されたもの。

182歳の梯子を登らせてもらいます。
腐食は進んでいるものの結構しっかりしています。
梯子の次は鎖場。なかなかスリリングです。

根本山神社本社
図によると、おそらく[鎖場]というのが、先ほどの鎖場で、
コの字を書くように[本社]に進んだところが次の画像だと思います。


撞木が置いてあったので叩いてみました。よく響くいい音です。

これがずっと見たかった本社!

のぞき窓からのぞくと、立派なお宮があります。
とても立派な彫刻です。

今にも崩れそうなので、10年後も残っているか分かりません。
歴史的・文化的な価値がある資産だと思うので、なんとか市や有志のファンド等で保護してもらいたいものです。
獅子岩

鎖場を登って行くと獅子岩が現れました。

獅子岩の上に祠の跡があります。おそらく[獅子岩山神]と思われます。

ここからしばらく鎖で上がっていきます。


根本山神社奥社
鎖場を三点支持で慎重に登り、ようやく奥社にたどり着きました。

下の図の[奥社]の所。

ここからは先ほどのような垂直の鎖場は無いので、一安心。
行者山

江戸時代のものと思われる鎖。

根本八景「鳥屋場の紅葉」で知られた名所で、ツグミという鳥の「かすみ猟」が行われた場所でもあるとのこと。

中尾根コースに合流しました。根本山山頂へ向かいます。

根本山山頂
根本山山頂に到着。標高1,199mでぐんま百名山の一つです。
眺望はなく、なぜ百名山に選ばれたのか良く分かりませんでしたが、根本沢コースを歩いてみて納得しました。


尾根を歩いて十二山・熊鷹山方面へ進みます。

氷室山方面への分岐。足尾の地蔵岳まで行けるようです。

熊鷹山
熊鷹山に到着しました。矢倉に登って景色を眺めます。


毎年見るたびに傾きが増している鳥居。もうそろそろ限界か!?

林道
林道に降りました。ここから不死熊橋までランニング。

派手に転びました。完全に油断してた…
後ろ受け身の反応はできましたが、少し腰を打ちました><鈍ってます。

不死熊橋まで戻ってきました。お疲れ山でした。

あれはもしや、熊鷹か?

感想
初めて根本山に登ったのは2018年で、それ以来毎年登っています。
今までは熊鷹山、十二山、根本山、中尾根のルートで満足していましたが、根本沢コースに根本山神社本社があるという情報を知って以来、ずっと行ってみたいと思っていました。
根本沢コースは過去に挑戦したことがありましたが、当時は登山経験がなかったため、険しい道で心が折れて引き返してしまいました。しかし、少し経験を積んだ今なら行けるだろうということで、ついにこの日リベンジを果たしました。
山中には様々な史跡が残っており、資料を参考にしながら過去を思い巡らせることができ、とても楽しい山行となりました。
――
根本山に行くときにいつも通る337号線沿いは、2年くらい前からBBQやキャンパーが他県からも殺到するようになりました。何かで紹介されたのでしょうか。多言語で書かれた注意書き看板が立ち、パトカーが巡回しており、秘境感が無くなってしまいました。
追記
今朝、スマホに根本山での遭難のニュースが流れてきました。
群馬県警桐生署は3日、桐生、みどり両市と栃木県佐野市にまたがる根本山に登った埼玉県和光市の男性会社員(61)の行方が分からなくなり、遭難の恐れがあると発表した。県警ヘリも投じ、群馬、栃木両県警などが捜索したが見つからず、4日朝から捜索を再開する。
根本山で男性遭難か 群馬・栃木県境 桐生署など捜索も発見できず 2023/7/3 19:49 上毛新聞
今年に入ってから、既に3件の根本山での遭難のニュースを見ています。
根本山から熊鷹山へと続く中尾根コースは何てことの無い登山道ですが、根本山の核心部である根本沢コースは、鎖場が連続する「上級者向け」のコースとされています。男性は30年の登山経験を持つ方で、おそらく準備や技能には不備はなかったと思われますが、予期しない事態が発生する可能性もあります。男性が無事に帰ることを心から祈っています。
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