クマよけスプレーはみだりに携帯してはいけない
今年の熊による被害件数は過去最多を記録し、これにより熊対策に対する関心が高まっています。特にクマよけスプレーは人気で、一時的には入手困難な状況となりました。
アウトドア愛好者の中で広まりつつあるクマよけスプレーですが、取り扱いには注意が必要です。
クマよけスプレーをみだりに携帯しない
基本的に、クマよけスプレーは”クマが出るであろう山域に行くとき”以外は自宅に保管しましょう。
というのも、クマよけスプレーはクマを忌避するほどの威力を持つため軽犯罪法上の凶器に該当します。
所持している正当な理由が説明できなければ「凶器携帯」として検挙される可能性があります。
漠然とした理由は”正当な理由”にならない
大阪市の男性が「持っていたら便利」という理由で十徳ナイフを所持していたところ、軽犯罪法違反(凶器携帯)で検挙されたケースがあります。
信号無視をした男性を警察官が職務質問をしたところ、十徳ナイフがみつかり摘発されました。
1審の大阪簡易裁判所は科料9,900円の有罪判決を言い渡し、男性は控訴していました。
そして、大阪高裁では次の理由で控訴を棄却しました。
これといった必要性もないのに漠然とした目的で十徳ナイフを常時隠匿携帯することが許されるというのは、法律の趣旨からみても相当とは言えない
大阪高裁
「持っていたら便利」などという漠然とした理由は”正当な理由”にならないのです。
置き忘れも認められない
キャンプブームの昨今、銃刀法での検挙のうち8割はキャンプ・釣り後の置き忘れです。
都内の銃刀法違反、8割はキャンプ・釣り後の「置き忘れ」…警視庁「刃物は自宅に保管を」
実は私もキャンプ前に携帯していたナイフで銃刀法に問われたことがありました。
「クマよけスプレー」も「キャンプ用ナイフ」と同様に検挙が増えてしまうのではないかと危惧しています。
正当な理由が説明できる状態で携帯する
仕事や登山などでクマよけスプレーを携帯する際は、山道具と一緒に携帯する必要があります。
しかし、山道具と一緒に携帯しているからと言って、軽犯罪に問われないと言えばそういう訳でもありません。市街地を歩いている時に職質され、ザックからクマよけスプレーが発見された場合、「凶器を隠し持っている」と判断されることもあります。
軽犯罪については現場の警察官の裁量が大きいため、クマよけスプレーの取扱いはとても慎重にならなければなりません。
- 山道具と一緒にパッキングする
- クマが居る山域にしか持っていかない
- 登山計画書など正当性を証明できるものを携帯する
- クマよけスプレーを持ち歩く際は街中を避ける
- 自宅から山まで寄り道しない
- 帰宅後は必ず車から降ろす・ザックから取り出して保管する
凶器を持っているという自覚を持つ
クマよけスプレーは命を守るために不可欠なアイテムですが、同時に危険な武器とも言えます。このスプレーを所持することは、慎重かつ適切な取り扱いが必要です。
やむなく携帯する場合は、凶器を携帯しているという自覚を持ち、慎重かつ責任を持って運用するように心がけるべきです。
POLICE MAGNUM 熊撃退スプレー 中型 (全国の複数の国公立機関・地方自治体正式採用品/JSDPA認定品) B-609
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