赤城山の外輪山をぐるっと一周してきた

- タイム
- 9:14
- 距離
- 19.2km
- 上昇量
- 1773m
9時間ちょっとの山歩道 / TaK 🔰さんの出張山・駒ヶ岳(群馬県)・赤城山の活動データ | YAMAP / ヤマップ
星降る闇夜、赤城山へ
8月26日、寂寞な夜の闇が赤城山を包み込む中、合気道の稽古の疲れを癒すため、私は車を走らせて赤城山へ向かった。夜風が窓を揺らし、星々が闇夜を照らしていた。車中泊の夜は静かで、山の神秘的な存在を感じながら眠りについた。
翌朝、まだ暗いうちから目を覚まし、外は静寂に包まれていた。深い夜から次第に夜明けへと移り変わっていく様子が窓越しに感じられた。合気道の稽古で培った集中力と感覚が、この山の自然と一体となる瞬間を楽しむ準備を整えていた。
日が昇るにつれて、山々の輪郭が次第にはっきりと見えるようになった。赤城の大自然は、その壮大なスケールと美しさで心を打つものだった。私は外輪山をぐるっと一周する計画を立て、歩き始めた。
まずは地蔵岳
まずは地蔵岳から冒険が始まった。朝の日差しが山々に照らされながら、私はその道を進む決意を固めた。地蔵岳は、赤城山の中央火口丘であり外輪山の一部である。頂上にはアンテナ群があり、付近の窪地は旧火口と考えられている。
山道は階段が整備されていて、登りやすくなっていた。段差を踏みしめながら、少しずつ高度を上げていく感覚は、まさに自然との一体感を感じさせてくれた。途中、周囲の木々が風に揺れ、小鳥の歌声が耳に心地よく響いてきた。
山頂に近づくにつれて、空気は一層澄み切ってきた。心地よい風が吹き抜け、汗ばんだ身体を涼しげに包んでくれる。やがて、地蔵岳の山頂に到着した。そこには、お地蔵様が佇んでいた。その姿は、何か特別なものを感じさせ、登る苦労を報いてくれたような気がした。
そして、山頂にはアンテナがたくさん立っていた。その光景は、山の自然と人の手が交錯する不思議な風景だった。アンテナの鋼の骨組みが、空に向けて伸びており、遠くの情報を受信し、送信しているのだろう。人々の生活と自然の美しさが、この山の上で交わる光景に感動を覚えた。
地蔵岳からの景色は、素晴らしかった。

遠くには黒檜山などの山々が連なり、どこまでも続く緑の大地が広がっていた。その眺望は、自然の壮大なスケールを改めて感じさせ、山登りの喜びを実感させてくれた。
地蔵岳での眺望は、山行の始まりにして最初の感動だった。新たな発見と冒険が私を待っていることを感じながら、次の一歩を踏み出す心地よさを感じていた。
鈴ヶ岳に向かう
地蔵岳の感動的な山頂から別れを告げ、鈴ヶ岳に向かう。
鈴ヶ岳の周辺は長距離でエスケープが無いため、序盤にやっつけておきたい。
4号線を横断し、登山道に入る。
進む先々で、先人たちが辿った痕跡を感じることができた。道標や案内板が、鈴ヶ岳への道を示してくれた。そして、途中でトレラン大会のマーカーの残置を見つけた。

トレラン大会のマーカーは、山々の自然とアクティビティが交わる瞬間を象徴していた。山登りやトレイルランニングは、自然の中で体力を鍛えつつ、その美しさを堪能する素晴らしい方法だ。その残置は、山の一部としての人々の交流と冒険の歴史を物語っていた。

鈴ヶ岳への道は、坂道を登っていくにつれて息が荒くなるほどに険しくなっていった。しかし、その一方で、新たな景色や発見が待っていることを知って、足取りは軽やかになっていた。途中で感じる疲れも、鈴ヶ岳の登頂の達成感によって吹き飛ばされることを確信していた。
山頂に向かうにつれて、地形が急峻に変わり、大きな岩がむき出しになっていく様子が見受けられた。手がかりを見つけながら、岩を乗り越えていくうちに、周囲の景色が次第に高くなっていった。息を切らしながらも、一歩ずつ山頂に近づいていく快感は、他には代え難いものがあった。そして、長い道のりを乗り越えた先に、鈴ヶ岳の頂上が現れた。

そこに立った瞬間、満足感と達成感で心が満たされた。
出張山・薬師岳・陣笠山・足柄山
鈴ヶ岳から次の山にはかなり高度を下げる必要があった。山を下りる過程で、周囲の景色がガラリと変わっていくのを感じた。シダ植物に囲まれた緑の道が、自然のなかを歩く喜びを与えてくれた。山の多様な顔を垣間見る機会でもあった。
やがて、分岐に差し掛かり、登り返しが始まった。ここは関東ふれあいの道のコースらしい。

分岐からの登り返しは、先程の下りとは異なる景色を見せてくれた。坂道が急になり、足取りが重く感じる中でも、周囲の自然の美しさに心が奮い立つ。汗が流れるなかで、自分の限界を試す瞬間が続いた。

登る過程で、前方に尾根が見えてくると、新たな勇気が湧き上がってきた。一歩ずつ、息を切らしながら、高度を上げていくことの喜びを感じつつ、尾根に向かっていった。


鈴ヶ岳からこの出張山までの間が一番距離が長く、高低差もあり、エスケープも遠い所だった。逆回りをしたこともあったが、体力も無かったあの時は鈴ヶ岳の登りでひどい目に遭った。今回は序盤にやっつけた。
尾根に上がれば後はほぼ平坦な道になる。

陣笠山に到着。この時から積雲が赤城の山塊を飲み込もうと近づいてきていた。

この日はマラソン大会があったようで大沼周辺で交通規制が行われていた。そのため、いつもは人が多い赤城山もこの日はまばらだった。
黒檜山登山口から岩を見つめる1時間
ロードを移動し、黒檜山登山口に到着した。ここから山頂を目指す。

最初から大きな岩がゴロゴロと転がっている様子が目に入ってきた。
足元には大小さまざまな岩が広がり、それをかわしながらの進むことが求められた。岩が道を覆い尽くすその様子は、まるで自然が積み重ねた迷路のようであり、その挑戦が私を引き込んでいった。
岩を見つめることは、ただ進むだけではなく、地形を読み取り、最適なルートを見つける作業でもあった。1つ1つの岩が、次の一歩にどのような影響を与えるのかを考え、慎重に足を運んでいく必要があった。時間は経つことも忘れて、岩のパズルに集中し続けた。
私は岩の世界に没頭していた。地面の凹凸、岩の大きさや形状、それらが組み合わさったパターンを分析し、最適なルートを見つける努力を続けていた。周囲の風景も見逃すことなく観察し、山が持つ力強さと美しさを味わいつつ、岩の中に身を置いていた。

岩場を乗り越え、ついに黒檜山山頂に到着した。その瞬間の達成感は、言葉では表せないほど大きかった。息を整えながら、周囲を見回すと、霧に包まれていて周囲の景色はまったく見えなかった。

目指してきた山頂での景色を楽しむことはできなかったが、その代わりに、不思議な雰囲気が山頂に漂っていた。霧が山を包み込み、風が静かに吹き、まるで別世界に迷い込んだような錯覚を覚えた。山頂に立つこと自体が、自然との対話の一環であり、その瞬間が私にとっての特別な意味を持っていた。
そんな中、山頂での驚きが私を待っていた。地面に古銭が落ちているのを見つけた。それは年代物の硬貨であり、山頂に吹き抜ける風にさらされ、時間と共に変色していた。古銭がここにある理由や、その歴史に思いを馳せながら、私はその場に留まり、古銭が語る物語を想像した。

黒檜山を後にして駒ヶ岳へ進む。
駒ヶ岳へ向かう道中、黒檜大神とそれを守る鳥居があった。
周囲の緑や岩と調和しながら、山の荘厳さを引き立てていた。

駒ヶ岳
黒檜山から200mほど下り、大タルミを経て駒ヶ岳へ登る。一般的には駒ヶ岳から黒檜山を目指すコースを選択する場合が多いが、逆回りだと、黒檜から駒ヶ岳は凄く近く感じる。

雲がほぼ水平の位置に見える。雨が降っている所がはっきり見えた。

籠山
しばらく進むと篭山の山頂へ向かう道と巻道の分岐が現れた。私は篭山山頂を目指す事にした。

この岩場は迷路のように複雑で何度も迷いかけたが、ピンクテープのおかげでなんとか山頂にたどり着くことができた。しかし、篭山には眺望は無い。

小地蔵岳・長七郎山
篭山からサントリー ビア・ハイランドホールの駐車場に降りて、小沼方面へ向かう。

長七郎を踏む前に、小地蔵岳を踏む。
道標が朽ちてしまっているが、マイナーな小地蔵岳の道標はメンテナンスをしないのだろうか。

長七郎山に到着。周囲に広がる風景は、黒檜山や駒ケ岳とはまた異なる顔を見せていた。
ここは高低差が少ないため、比較的楽に移動できる。

長七郎山を後にして小沼へと下った。
湖の静寂な水面と周囲の自然の美しさが私を惹きつけ、足取りを速めた。

小沼のほとりに立つ瞬間、その水面が美しい景色を映し出しているのを見て、自然の魅力に圧倒された。周囲には木々がそびえ、水面に映るその姿がまるで夢の中の風景のようであった。私は湖の畔に降り立ち、その静寂と穏やかさを心に受け入れながら歩き始めた。

湖畔を歩きながら、自然の中での静かな一瞬一瞬を楽しんでいた。小さな波紋が水面に広がり、小鳥のさえずりが耳に心地よく響いてきた。湖の周りには花々が咲き、季節の移り変わりを感じさせてくれる色彩が広がっていた。
一周する間、湖畔の景色が移り変わっていくのを感じながら、自然との共鳴を深めていった。湖の静けさや美しさは、心を落ち着かせ、日常の喧騒から離れる瞬間を与えてくれた。湖の水面に映る自分の姿を見つめながら、内なる平和を感じることができた。

山行の冒険を終えて、車を置いた駐車場に戻ると、そこには美しい虹が出ている光景が広がっていた。その虹は、まるで天からの贈り物のようであり、山々の冒険の締めくくりにふさわしい神秘的な風景だった。虹の美しい輝きは、山々の冒険の成果を称え、新たなる旅立ちへのエールを送っているようであった。
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